わたしが彼の紹介をした。何しろ私は幹事だからそれは至極当然なのだ。
「えー、さてここで花束と記念品の贈呈を行いたいと思います。」花束と記念品が紅一点から贈られた。記念品は私がチョイスしたウスラおしゃれな腕時計であった。
「あァこれはちょうど良かった。腕時計を買い替えようかと思っていたところなんですよ。オシャレな時計をありがとうございました。」
彼は朴訥であったから、このような普通の世辞は彼のイメージに合わなかったが、それはきっと、私が彼のことヲしらないからだろう。
「ところで、何故腕時計なのでしょうか?何か理由などがあるのでしょうか」ああ 何という質問をスるのだろうか。それを答える のはとても難しい。
「少し話が長くなりますがよろしいでしょうか。よろしいですね。今回私はDさんへ贈る品物をどうすれば良いか、とても悩みました。三日三晩寝ずに考えたのです。そして一つの結論に達しました。即ち、わたしにはベストな選択は出来ないという事です。いや、正確にはベターな選択すら出来ないという事です。なぜなら、私はDさんのことを殆ど知らないからです。もちろん2年も一緒に仕事したのですから、仕事については大方把握していると言っていいでしょう。しかしながら、プライベートはどうでしょう。そう、私はDさんのことを何も知らなかったのです。それは衝撃的なことでした。私は考えました。どうすればいいのかと。この際、誰かの知恵を借りるというのが常套手段です。しかし、それだけの時間的余裕も無いのです。そこで私は気づきました。私が住む家の裏には神社があります。何をもって裏というかは曖昧な部分ですが、玄関から見て敷地の対角線上にあるといえばいいでしょうか。兎に角我が家の裏にはウカノミタマを祀る神社があるのでございます。本来は五穀豊穣を願うのが一般的なのですが、そこはやはり八千代の時を降々と過ごしてこられた訳ですから寛大に違いありません。少々的外れなお願いをしてもきっと聞き届けてくださるでしょう。私は水垢離をし手を洗い身口意を新ためお神酒を携え隣の神社へ向かったのでございます。しかし、そこにいたのはお稲荷様では無く作業服を纏ったおじさんでした。もっと正確に言えば頭装備上段に白い工事帽、肩装備にタオル、両手に軍手、体に紺色の作業服、足に安全靴を装備した40代後半の男性でした。私はなぜ元旦でもないのにこのような場所に工事のおじさんが居るのかと疑問に思ったのですが、次の瞬間、ああこれは、きっとおじさんの身を借りて顕現されておられるのではないかと気付いたのであります。我ながら看が良いものです。そういえばどことなくTVタレントの志村けんさんに似ています。
「えー、さてここで花束と記念品の贈呈を行いたいと思います。」花束と記念品が紅一点から贈られた。記念品は私がチョイスしたウスラおしゃれな腕時計であった。
「あァこれはちょうど良かった。腕時計を買い替えようかと思っていたところなんですよ。オシャレな時計をありがとうございました。」
彼は朴訥であったから、このような普通の世辞は彼のイメージに合わなかったが、それはきっと、私が彼のことヲしらないからだろう。
「ところで、何故腕時計なのでしょうか?何か理由などがあるのでしょうか」ああ 何という質問をスるのだろうか。それを答える のはとても難しい。
「少し話が長くなりますがよろしいでしょうか。よろしいですね。今回私はDさんへ贈る品物をどうすれば良いか、とても悩みました。三日三晩寝ずに考えたのです。そして一つの結論に達しました。即ち、わたしにはベストな選択は出来ないという事です。いや、正確にはベターな選択すら出来ないという事です。なぜなら、私はDさんのことを殆ど知らないからです。もちろん2年も一緒に仕事したのですから、仕事については大方把握していると言っていいでしょう。しかしながら、プライベートはどうでしょう。そう、私はDさんのことを何も知らなかったのです。それは衝撃的なことでした。私は考えました。どうすればいいのかと。この際、誰かの知恵を借りるというのが常套手段です。しかし、それだけの時間的余裕も無いのです。そこで私は気づきました。私が住む家の裏には神社があります。何をもって裏というかは曖昧な部分ですが、玄関から見て敷地の対角線上にあるといえばいいでしょうか。兎に角我が家の裏にはウカノミタマを祀る神社があるのでございます。本来は五穀豊穣を願うのが一般的なのですが、そこはやはり八千代の時を降々と過ごしてこられた訳ですから寛大に違いありません。少々的外れなお願いをしてもきっと聞き届けてくださるでしょう。私は水垢離をし手を洗い身口意を新ためお神酒を携え隣の神社へ向かったのでございます。しかし、そこにいたのはお稲荷様では無く作業服を纏ったおじさんでした。もっと正確に言えば頭装備上段に白い工事帽、肩装備にタオル、両手に軍手、体に紺色の作業服、足に安全靴を装備した40代後半の男性でした。私はなぜ元旦でもないのにこのような場所に工事のおじさんが居るのかと疑問に思ったのですが、次の瞬間、ああこれは、きっとおじさんの身を借りて顕現されておられるのではないかと気付いたのであります。我ながら看が良いものです。そういえばどことなくTVタレントの志村けんさんに似ています。
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