2010/04/18

入社式にみる社風

時節柄、各社の入社式をぼんやりと眺めてみました。多くのメーカー系の入社式における訓辞は、よく言えば、「理想的」で悪く言えば「テンプレート通り」で、社風をよく表しているなぁ、と個人的に思うのですが、その中ではダイキンなどは少し面白く思いました。

社長じゃなくて、会長がやってきて、円卓に座って、身振り手振りで思いを伝える、というのはなかなか面白いじゃないですか。少人数だからできるということもあるのでしょうけど。

特に、会長さんが言った5つのポイントを見たときは、良くも悪くも「会社的」ではなかったので、中々面白いです。特に、訓辞で「夢を持て」なんて言葉が出てくるあたり、なかなかクサくていいです。

ちなみに、この5つのポイントはいわゆる「起業家マインド」と言われるものです。最終的には、こういう人たちは独立してしまうことが多いのですが、長期スパンで見れば、会社にとってプラスになる、とクリステンセン先生は言っています。

quoted from:ダイキン工業株式会社 平成22年度入社式会長兼CEO井上礼之 訓辞 | ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社
平成22年度入社式 会長兼CEO井上礼之 訓辞
― 「イノベーター」になれ」 ―


ダイキン工業株式会社(本社:大阪市)は、平成22年4月1日に、梅田センタービル『クリスタルホール』(大阪市北区中崎西2-4-12)で、平成22年度入社式を行い、井上礼之会長兼CEOが次のように訓辞しました。


<井上会長訓辞(要旨)>
新入社員の皆さんは今の時代をどんな風にみているでしょうか。戦後の高度経済成長やバブル経済とも無縁な皆さんにすれば、「右肩下がり」の時代が続いてきたという印象が強いかも知れません。今では、海外諸国から「失われた20年」と揶揄され、「衰退途上国」と不名誉なレッテルまで貼られています。日本経済がこのような状況に陥った原因を一言で言えば、日本が世界経済の大きな構造的変化(パラダイム・シフト)を見過ごし対応が遅れた、ということでしょう。

「未来」は現在の延長線上には生まれません。駕籠から鉄道が生まれなかったように、鉄道から飛行機が生まれなかったように、「未来」は現在とは不連続な形でやってきます。それが「パラダイムシフト」の本質です。

このような大転換期において、新入社員の皆さんに期待することは「イノベーターになれ!」ということです。時代の先を見据えるフロントランナー、変革者になっていただきたい。

坂本龍馬の有名な言葉に「日本を今一度、洗濯いたし申し候」があります。旧体制の江戸幕府を倒し、新しい明治政府を作り上げる原動力となった坂本龍馬は、まさしく日本のイノベーターです。

皆さんには自分の可能性を信じ、夢中になれるものを見つけ、フロントランナーとして力を発揮して欲しい。

特に望みたいことは以下の5点です。
(1) 夢を描く:将来こうありたいという「夢」と現状のギャップを見据えることで明確な目標設定ができ、将来のビジョンを描くことが出来る。社内にロールモデル(目標とする人)を見つけ、早く自分の「型」を身につけて欲しい。
(2) ウォームハートとクールヘッドであれ: 夢を形に変えるために、熱い思い(ウォームハート)を持つ一方で、現実を直視する冷徹な頭脳(クールヘッド)を持って欲しい。
(3) 「評論家」はいらない、「挑戦者」になれ: 失敗を恐れず、何事にも前向きにチャレンジして欲しい。ダイキンは前向きの失敗は授業料だと思ってとがめない。出来ない理由を並べ立てる「評論家」ではなく、出来る理由を探し、可能性にチャレンジする「挑戦者」になってもらいたい。
(4) 出る杭になれ、「空気」を読むな: 企業の活力や競争力は、とんがった者同士が互いに切磋琢磨することで生まれる。覇気のない「良い子」はいらない。常識を疑い「出来合いの答え」を否定すること。グローバル競争を勝ち抜くために、周りの「空気」に流されない、異能・異才を求める。
(5) 一角(ひとかど)のプロフェッショナルとして「一隅を照らす」: ヒト一人で出来ることには限りがある。チーム力、組織力で戦うのが企業経営というもの。そのためには、組織の一人ひとりが当事者意識を持って自分の職責を果たすことが必要。今自分が置かれている場所や立場で、ベストを尽くして自分が光ることで周りの人も光らせることのできる人(=「一隅を照らす」人)になって欲しい。