2012/08/20

Amazon.com と楽天koboについて

宿題でAmazon.com をちょっと調べることになりました。といっても、財務諸表をザッと読んだだけです。

で、財務諸表ですが、米国証券取引委員会のページに行くと、すぐに見つかります。サラリと読んでみると、自分がイメージしていたAmazon像とは微妙に違う印象が浮かんできます。例えば、売上規模と粗利。粗利は22~24%で、売上規模は1.2~2兆円クラス。売上比率も半分は国内で、そんでもって半分は電化製品売上です。

で、その半分の電化製品売上の方を考えてみます。

Amazonというと、なんというか、WEB系の会社のイメージがあって、で、そいつらの常道である、粗利が高くて損益分岐が低く、売りは少なくても利益率が高いのニッチ、スキミングで行きまっせ、的なイメージを勝手に持っていましたが、財務を見る限りは至って王道の小売業なんですよね。ですから、規模の経済を優先、というのが王道。

で、Amazon て、調達、流通、販売が自前なんですよね。まぁ、規模の経済を追求するとそうですわね。でも、それには、巨額の投資が必要ですね。さすがに調達はJITになりつつあるそうですが、ってコレもまさしく、Walmartと同じ形態なんですよね。というかですね、この品揃え数と売上規模を見ていくと、「Amazonって卸+小売」なのね、と気づくのです。つまり、中抜きモデルなわけです。

で、卸レベルの小売になるためには、そりゃあもうエライ投資が要るんですよね。楽天なんかとは真逆ですね。王道中の王道。だから、なかなか参入したいと思わない。今から参入しても美味しくないから。

今後はBestbuyとかのシェアを食っていくんでしょうね。

さて。もう半分のMedia(書籍)部門。書籍って特殊な製品ですよね。

  1. 他の製品に代替できない
  2. 故に膨大な品揃えが必要⇒店舗面積が必要⇒在庫リスク大
  3. 重い、嵩張る、面積必要⇒流通コスト、販管費大⇒粗利低い

もうなんというか、デカくて重くてリスク大な製品です。手を出したくないですよね。bezosはそこに目をつけたんでしょうね。上の1,2を解決するために販売店を無くし、ネットでのみ書籍販売するようにしたんですね。だから、品揃えを維持しつつ店舗コスト、在庫リスクを下げる方法を考えた。

で、3つ目ですよね。そもそもデータを売れば、流通コストはゼロです。粗利が高くて笑いが止まらない商売になるはずですよね。でも、そこには大きな障壁がある。それが書籍リーダー。これにコストが掛かるようでは、誰も使わない。だから、赤字あるいは剥離で売る。

本は品揃えが大事。だから、品揃えを増やすために、出版の取り分を増やし、安売りして、ユーザーに買ってもらう。これも薄利。

しかし、10冊程度買ってもらうことに成功すると、以降、その人はamazonからしか本を買えなくなる。DRMがある以上、他のプラットフォームに移ることは、できなくはないが、非常に面倒くさい。だったら、もうkindleでいいや、となる。電子書籍はスイッチングコストが非常に高い製品なんですね。

で、楽天koboですよね。売り方がyahooBBと同じですね。とにかく安くリーダーを提供し、最初の数冊を買って欲しい。一回囲い込んでしまえば、不具合でまくろうが、値段がちょっと上がろうが、他のプラットフォームに移るのが面倒くさくなる。ただ、yahooBBと同じで、光通信のように更に圧倒的な価値を提供するものが出てくると、駆逐されてしまいますね。あるいは出版がこのことに気づいて、DRMを外そう、という連携を見せれば、さらにシフトするような気もします。

で、amazonに戻るのですが。北米の電子書籍販売ルートの85%を握ってしまったので、もう北米では誰も太刀打ちできない状況とおもいます。問題は、日本です。彼らは、どれぐらい日本の書籍市場を本気で攻めようとおもっているのか、謎です。

私なら、マーケットの大きさよりも、US以外の英語圏を攻めよう、と思います。書籍の場合品揃えが大事で、電子書籍の場合は、最初の一歩が大事なので、日本の出版とネゴっている時間があったら、欧州を攻めたいところです。

というわけで、amazonの動向は引き続きwatchです。(結論は無し)