2008/12/18

ビッグスリー救済法案が棄却された理由

救済法案が棄却された理由がよく分からなかったので、探してみた。

下記の記述が分かりやすい。ちょっと長文になるけど引用します。

 

quoted from:「ビッグスリーを"国鉄"と考えると分かりやすい」~米上院はどうして救済法案を白紙に戻したのか:NBonline(日経ビジネス オンライン)

小林:反対論のコアは非常に簡単、明快ですよ。

「経営上の基本的な問題を解決しなかったら、何度救済しても、アメリカの自動車メーカーは生き返らない」

これです。

 

現在の体制のままで再生はできない、と言う点では、アメリカの代表的なプライベートエクイティ(PE)ファンド、サーベラスが8割の株式を握るクライスラーは、もっと深刻ですね。PEファンド・金融主導によるメーカー再生はなかなかうまくいかない。彼らは基本的に短期収益志向だから、企業が持っている価値を抜き出して現金化するだけ。或いは、様々な手段を使って安く買い、つまり売り手が安く売らざるを得ないような状況に追い込んで、買った時点で儲ける。そして高く転売して、買った時の儲けを実現する、といったことが多くて、なかなか価値を生み出せない。

そういうことが分かっているから、(ファンド側を)痛い目に逢わせて、引っ込ませようとしている雰囲気もあるんです。「株主はほとんどがPEファンドの投資家、つまり富裕な個人が中心。だったら自分達の資金で何とかしろ」という冷淡な眼が米国には結構ありますね。サーベラスによる議会や政府へのロビー活動は、現在も凄まじいらしいです。影響力を背景に政治力に頼る姿勢が強烈で、それがまた反発を呼んでいる。

 

アメリカで日本やドイツの自動車メーカーがうまくいっているのは、経営側の技術・品質志向と効率的な経営、労使の協調姿勢、株主の長期的経営視点が大きな要因でしょう。米国の労働組合は年功序列だから、人員削減では若い人から解雇され、中高年の労働者が残ってしまう。だから、UAWの支配を弱め、経営をもっと長期的・技術志向・効率的にして、品質の高い車を低コストで製造できる競争力のある体制にすることが必要。

つまり株主・経営者・労働者を全て巻き込んだ構造改革が必要、という認識が、救済否定派にはあるわけです。そのような構造改革計画が出てきてから救済資金を出すべき。先に救済資金を出して、構造改革計画が出てくるのを待つのは、順番が逆。何も出てこないに決まっている、こういうことです。



 

アメリカってこういうところが合理的で素敵ですよね。潰れるべき会社は潰れろ、と。

でも、そのこと(ビッグスリーが経営的に問題を抱えている)を認識している国民も少ない、と。こうなると、よく分からないですね。主張が直接支持率に響く訳ではないのかしら?

「本質を解決しよう」というのは、どうしても話が難しくなりがちで、そして、難しい話はあまり聞いてくれないし、あんまり深くも考えてもらえないので、結構、国民の支持を得るのは難しいんじゃないかなーとか思うんですよね。そこらへんは、プレゼンテーションの技術でカバーするのかもしれないですけど。

というわけで、ちょっと反対派の人の演説を見てみた。

「いいか、今投入したカネは、絶対に戻ってこない!1ドルたりともだ!カネをゴミ箱に捨てる行為を見過ごす訳にはいかない!」

うん。確かに分かりやすい。なんか知らんけど、すげぇ勿体ないことをするような気がしてくる。

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