2009/12/10

書籍紹介:技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか

★★★☆☆

読んだ最初の感想。「とにかく分かりづらい。読みにくい。ページ数が多い。」

最初に言い訳すると、私の読解力が非常に低い、というバイアスがかかっている可能性が高い。まぁ、個人的な感想なので、私はそう感じた、というだけの話です。

 

言葉は平易、一つ一つの事例も、分かり易い視点で読み解かれている。斬新というか安易というか思い込みというか、とにかく理解が簡単な視点では切り取られていると思います。

が、全体を通してみると、分からない。一つ一つの事例は正しいように思えるが、体系的に纏まっていないので、全体で何が言いたいのか、構造的に何が問題なのか、が分からない。自分で考えろ、ということなのかもしれませんが。。。

あと、数字が殆ど出てこない。グラフも無い。マップも無い。

やたらと、「・・・と、思います。」「・・・と、思うのは私だけでしょうか。」という表現が出てきて、読んでいて「この人、ちゃんと裏を取ってるのかな。まさか、ただの思い込みなんじゃ。。。」と不安になる。「えー、それ本当なの?ちゃんと調べたの?」と、疑う点が沢山でてくる。ちゃんと、数字で裏付けを取って欲しい。

重ねて言いますが、一つ一つの事例は、それぞれ正しく、分かり易くとらえていると思います。特に問題点の指摘は、正しく指摘していると思います。

が、解決案が、なんというか、思いつきに見えてしまうんですよね。例えば、全体を俯瞰して、こんな解決案もあるし、こんな解決案もある。その上で、こういう視点とこういう視点から、この解決案がベターです、というのなら納得しやすいのですが、全体像が見えないのでなんとも。

あと、問題点が「経営の課題」なのに、具体的解決案が「知財戦略」に落ちている辺りも、すこし論理の飛躍があるように思えます。ちなみに、経営の課題に対して、三位一体の経営、を説かれていますが、正直、「三位一体の経営」は聞き飽きた感もあります。三位一体の経営なんて、抽象度があまりにも高すぎて、具体的にどういうフレームで考えるの?となったときに、課題解決策に落とせないんですよね。今までの経験上。私の知識と経験値が不足しているだけかもしれませんが。


quoted from:技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか - 池田信夫 blog

前にも書いたように、イノベーションの本質はフレーミングだから、プラットフォームをつくった者が勝つのは当然だ。それは要素技術に分解できない「ゲシュタルト」としてリーダーが構想するもので、各部署のコンセンサスではできない。そのとき最大限にオープンに見せながら、コアの部分は特許や著作権で守るのが賢明な戦略である。「DRMをやめよう」といいながらFairplayを外部にライセンスしないスティーブ・ジョブズなどは、こうした「見せかけオープン戦略」の代表だろう。そういう狡猾なリーダーが、日本にも必要なのだ。

 

そう。私も、イノベーションはフレーミングだと思っています。価値を生み出すところを見つけ出すもしくは、そのような仕組みを作るのが重要、と。では、そのような人材なりスキームなりを作り出して行くには、「三位一体の経営」から一歩進んで、具体的に何をしていくべきなのか、を全体を俯瞰した上で、ぜひ詳細に書いて欲しいところです。


2009/12/05

国益と科学技術


(自称)技術者として端くれとして、例のあの件について思うこと。

quoted from:「次世代スパコン・プロジェクト」論争で分かったこと - 産業動向 - Tech-On!

今後の課題

11月25日付で「ネイチャー」に科学技術予算の仕分けについて「官僚主義への批判と科学者に反論の機会を与えるべき」といった論調の記事が出ている。様々な批判はあるが、私はこの仕分け調査が科学技術政策にとって大きなプラスになると思っている。

(1)まず、今まで官僚が非公開で決めていた科学技術プロジェクトを公開の場で議論し、科学技術プロジェクトに対する関心を高めたこと
(2)そして、科学(文部科学省)と利用(経済産業省)が別々になっている官僚機構の縦割りの弊害が見えたこと

である。

今後、これらの問題に対応するため、大型科学技術研究プロジェクトを統括する総合科学技術会議のあり方を見直す必要があるだろう。メンバーについても同様である。ただ権威者がずらりと並べればいいというわけではない。産業界のみならず、納税者、若手研究者、ハイテク・ベンチャーなど色々な意見を汲み取る仕組みが必要だ。例えば『「次世代スパコン・プロジェクト」がダメ出しされたわけ』のコメント*の中で「そんな巨額を投じなくともPS3を5000台買ってきて並べればスパコンができるかも」といった話が出てくる。こうした柔軟な発想ができる組織でなければならないと思う。

* Annexへのログインが必要です

さらに、大型科学技術プロジェクトにおいては、国際的な連携をもっと重視するべきではないかと考える。アメリカのスパコン研究開発も巨大化しており、一国だけでは担いきれないとの意見も出ており、カーネギーメロン大などは国際プロジェクト化を進めている。このような動きにきちんと対応しなければ、また「ガラパゴス諸島」になってしまうのではないかと心配だ。日本が国際プロジェクトに乗らなければ中国が乗るだけとの話も聞こえてくる。

もう一つは、省庁で分断されている研究プロジェクトを統括して推進する仕組みづくりであろう。いずれも、新政権の大きな課題である。

 

私の感想は、「まぁ、1000億はちょっと高いだろうけど、この分野は投資しておいた方がいいんじゃないの?」と思っています。

というよりも、文科省の説明が非常にマズイという気がします。

「1位を目指します!」って言えば、「何のために1位を目指すの?」って質問が来るのは当たり前で、それに対して、説得できそうな答えを用意していなかった、というのは、ちょっとマズイですよね。どこの省庁も、慢性的に人手不足、と聞いていますが、ここはマンパワーを集中しなくてはならない局面だと思いますが。

5分ほどで考えた自分なりの説明ストーリーは以下です。ちょっと脇が甘いですが。自分ならこんな感じで説明するかなー、と思います。

「この分野は将来の日本にとって重要。概算の投資とリターンはこんな感じ。メリットとデメリットをまとめた星取表がこちらです。さあ、どれを選びますか?別に止めるなら止めてもいいけど、優秀な人材は某国に取られちゃうし、後でめっちゃ損しまっせ?いやいや、そこでね、実は解決案が三つほどございまして。。。ちょっと、お時間頂いてもよろしいですか?」

「まず、これまでの資金投資に無駄があったことを認める。これとこれについては、明らかに投資に対するリターンが低い。今後は詳細検討する必要がある。ただし、大きな流れとして、これこれこういう分野では、既に○○方式では限界が来ており、特に今後規模の拡大が想定される○○の市場領域にとっては、研究開発のツールとして非常に重要となることは明白である。しかしながら、この開発領域において、我が国が世界において、どのポジションを目指すべきかの議論が必要であり、○○委員会の設置を検討している。開発のシナリオとしては、松(1000億投資-完全自前)、竹(500億投資-状態維持)、梅(200億投資、最低限)の三種類を検討している。それぞれメリットとデメリットはこれこれである。なお、完全に自国での開発を諦めた場合は、○○国からの購入ということになり、10年間で○○○○億ほどの経費が掛かることになると考えられる。」

みたいな感じですかね。なんか、胡散臭いですが。

個人的には、この手の開発って、多分ゴールが無くて、延々と競争が続くので、一位になること、というよりは、チャンスやタイミングがきたら首位に躍り出ることが可能なポジション取りをしておく、というのが重要かなと思います。そのためにも、なんというか、短期的、長期的両方のビジョンが必要だと思うんですよね。なんとなく、この方向ぐらいでいいと思うので。どうにも、それが無いような印象を受けるんで、「お前何も考えてないだろ?」と仕分け人に思われたんじゃないですかね。

Edyがやろうとしたこと

この発想は、、、

quoted from:iPhoneを端末にクレジットカード課金ができる―Twitterの開発者、Jack DorseyのSquare、ベータ開始

Squareは携帯電話を端末に利用して誰でも簡単かつスピーディーにクレジットカードによる支払いを受けられるにするためのサービスだ。クレジットカードを専用の小さなカードリーダーに挿して滑らせると、読みとられたデータはマイクロフォン・ジャックを通じて携帯に転送される。カードをスロットに滑らせる動きで発電してカードリーダーの電源を得ている。カード情報はマイクの入力回路を通じて携帯に送られる。下の写真でも分かるが、カードリーダーはiPhoneとAndroid(少なくとも最近発表されたDroid)の両方で利用できる。

Paypalなみの手軽さで誰でも物理的クレジットカードによる支払いが受けられるようになるわけだ。Squareとの契約も利用料金も必要ない。顧客はSMS、メールでレシートを受け取る。



あったかもしれない。でも、実現方法として結構面白いような気がします。これって、「人と人の小銭のやりとり」もカードで決済可能になる、ということですよね。カード決済がなかなか入っていけなかった少額取引への導入となるか、否か。

Edyにも同じ機能があります。小銭を人に渡すことが可能です。が、正直面倒臭い。一回しかやったことがないです。それに、デバイスとしてかなり低額で導入できるのもウリなんでしょうかね。面白いなぁ。