★★★☆☆
読んだ最初の感想。「とにかく分かりづらい。読みにくい。ページ数が多い。」
最初に言い訳すると、私の読解力が非常に低い、というバイアスがかかっている可能性が高い。まぁ、個人的な感想なので、私はそう感じた、というだけの話です。
言葉は平易、一つ一つの事例も、分かり易い視点で読み解かれている。斬新というか安易というか思い込みというか、とにかく理解が簡単な視点では切り取られていると思います。
が、全体を通してみると、分からない。一つ一つの事例は正しいように思えるが、体系的に纏まっていないので、全体で何が言いたいのか、構造的に何が問題なのか、が分からない。自分で考えろ、ということなのかもしれませんが。。。
あと、数字が殆ど出てこない。グラフも無い。マップも無い。
やたらと、「・・・と、思います。」「・・・と、思うのは私だけでしょうか。」という表現が出てきて、読んでいて「この人、ちゃんと裏を取ってるのかな。まさか、ただの思い込みなんじゃ。。。」と不安になる。「えー、それ本当なの?ちゃんと調べたの?」と、疑う点が沢山でてくる。ちゃんと、数字で裏付けを取って欲しい。
重ねて言いますが、一つ一つの事例は、それぞれ正しく、分かり易くとらえていると思います。特に問題点の指摘は、正しく指摘していると思います。
が、解決案が、なんというか、思いつきに見えてしまうんですよね。例えば、全体を俯瞰して、こんな解決案もあるし、こんな解決案もある。その上で、こういう視点とこういう視点から、この解決案がベターです、というのなら納得しやすいのですが、全体像が見えないのでなんとも。
あと、問題点が「経営の課題」なのに、具体的解決案が「知財戦略」に落ちている辺りも、すこし論理の飛躍があるように思えます。ちなみに、経営の課題に対して、三位一体の経営、を説かれていますが、正直、「三位一体の経営」は聞き飽きた感もあります。三位一体の経営なんて、抽象度があまりにも高すぎて、具体的にどういうフレームで考えるの?となったときに、課題解決策に落とせないんですよね。今までの経験上。私の知識と経験値が不足しているだけかもしれませんが。
quoted from:技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか - 池田信夫 blog
前にも書いたように、イノベーションの本質はフレーミングだから、プラットフォームをつくった者が勝つのは当然だ。それは要素技術に分解できない「ゲシュタルト」としてリーダーが構想するもので、各部署のコンセンサスではできない。そのとき最大限にオープンに見せながら、コアの部分は特許や著作権で守るのが賢明な戦略である。「DRMをやめよう」といいながらFairplayを外部にライセンスしないスティーブ・ジョブズなどは、こうした「見せかけオープン戦略」の代表だろう。そういう狡猾なリーダーが、日本にも必要なのだ。
そう。私も、イノベーションはフレーミングだと思っています。価値を生み出すところを見つけ出すもしくは、そのような仕組みを作るのが重要、と。では、そのような人材なりスキームなりを作り出して行くには、「三位一体の経営」から一歩進んで、具体的に何をしていくべきなのか、を全体を俯瞰した上で、ぜひ詳細に書いて欲しいところです。