(自称)技術者として端くれとして、例のあの件について思うこと。
quoted from:「次世代スパコン・プロジェクト」論争で分かったこと - 産業動向 - Tech-On!
今後の課題
11月25日付で「ネイチャー」に科学技術予算の仕分けについて「官僚主義への批判と科学者に反論の機会を与えるべき」といった論調の記事が出ている。様々な批判はあるが、私はこの仕分け調査が科学技術政策にとって大きなプラスになると思っている。
(1)まず、今まで官僚が非公開で決めていた科学技術プロジェクトを公開の場で議論し、科学技術プロジェクトに対する関心を高めたこと
(2)そして、科学(文部科学省)と利用(経済産業省)が別々になっている官僚機構の縦割りの弊害が見えたことである。
今後、これらの問題に対応するため、大型科学技術研究プロジェクトを統括する総合科学技術会議のあり方を見直す必要があるだろう。メンバーについても同様である。ただ権威者がずらりと並べればいいというわけではない。産業界のみならず、納税者、若手研究者、ハイテク・ベンチャーなど色々な意見を汲み取る仕組みが必要だ。例えば『「次世代スパコン・プロジェクト」がダメ出しされたわけ』のコメント*の中で「そんな巨額を投じなくともPS3を5000台買ってきて並べればスパコンができるかも」といった話が出てくる。こうした柔軟な発想ができる組織でなければならないと思う。
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さらに、大型科学技術プロジェクトにおいては、国際的な連携をもっと重視するべきではないかと考える。アメリカのスパコン研究開発も巨大化しており、一国だけでは担いきれないとの意見も出ており、カーネギーメロン大などは国際プロジェクト化を進めている。このような動きにきちんと対応しなければ、また「ガラパゴス諸島」になってしまうのではないかと心配だ。日本が国際プロジェクトに乗らなければ中国が乗るだけとの話も聞こえてくる。
もう一つは、省庁で分断されている研究プロジェクトを統括して推進する仕組みづくりであろう。いずれも、新政権の大きな課題である。
私の感想は、「まぁ、1000億はちょっと高いだろうけど、この分野は投資しておいた方がいいんじゃないの?」と思っています。
というよりも、文科省の説明が非常にマズイという気がします。
「1位を目指します!」って言えば、「何のために1位を目指すの?」って質問が来るのは当たり前で、それに対して、説得できそうな答えを用意していなかった、というのは、ちょっとマズイですよね。どこの省庁も、慢性的に人手不足、と聞いていますが、ここはマンパワーを集中しなくてはならない局面だと思いますが。
5分ほどで考えた自分なりの説明ストーリーは以下です。ちょっと脇が甘いですが。自分ならこんな感じで説明するかなー、と思います。
「この分野は将来の日本にとって重要。概算の投資とリターンはこんな感じ。メリットとデメリットをまとめた星取表がこちらです。さあ、どれを選びますか?別に止めるなら止めてもいいけど、優秀な人材は某国に取られちゃうし、後でめっちゃ損しまっせ?いやいや、そこでね、実は解決案が三つほどございまして。。。ちょっと、お時間頂いてもよろしいですか?」
「まず、これまでの資金投資に無駄があったことを認める。これとこれについては、明らかに投資に対するリターンが低い。今後は詳細検討する必要がある。ただし、大きな流れとして、これこれこういう分野では、既に○○方式では限界が来ており、特に今後規模の拡大が想定される○○の市場領域にとっては、研究開発のツールとして非常に重要となることは明白である。しかしながら、この開発領域において、我が国が世界において、どのポジションを目指すべきかの議論が必要であり、○○委員会の設置を検討している。開発のシナリオとしては、松(1000億投資-完全自前)、竹(500億投資-状態維持)、梅(200億投資、最低限)の三種類を検討している。それぞれメリットとデメリットはこれこれである。なお、完全に自国での開発を諦めた場合は、○○国からの購入ということになり、10年間で○○○○億ほどの経費が掛かることになると考えられる。」
みたいな感じですかね。なんか、胡散臭いですが。
個人的には、この手の開発って、多分ゴールが無くて、延々と競争が続くので、一位になること、というよりは、チャンスやタイミングがきたら首位に躍り出ることが可能なポジション取りをしておく、というのが重要かなと思います。そのためにも、なんというか、短期的、長期的両方のビジョンが必要だと思うんですよね。なんとなく、この方向ぐらいでいいと思うので。どうにも、それが無いような印象を受けるんで、「お前何も考えてないだろ?」と仕分け人に思われたんじゃないですかね。
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