それが「競争優位性」になるのなら、積極的に投資するべきとは思います。
quoted from:身近な手本ほど、人は見逃す - 産業動向 - Tech-On!
“機能むき出し”のテレビ・リモコン
テレビのリモコンは、全ての機能が物理的にむき出しになっている。つまり、機械が保有している機能が、ほぼすべてボタンとして表出しているUIなのだ。人間は、機械を操作するために、それぞれのボタンの意味を覚えなければならず、ボタンの数が増えるほどに苦労が増える。
実は、ここが疑問だったりします。私自身も、テレビやHDレコーダのリモコンは余りにもあんまりなUIだなぁと、10年来思っていますが、果たしてそう思う人は大多数なのでしょうか?
テレビは耐久消費財とはいえ、随分とコモディティ化した製品、、と思います。(まぁ、まだまだ開発の余地は沢山あるとは思いますが)
で、コモディティであれば「大多数が求める機能」が優先されてしかるべきでしょう。一部のマニアのための機能は、オプションで出すべき、、かなと思います。
家庭では、私は東芝製のHDレコーダーを使用しているのですが、UIについてはまぁ、50歩100歩でしょうか。でも、機能のバージョンアップがあって、その分は別料金だったんですよね。で、ネット経由で機能をダウンロード→インストールという感じでして、こういう体系もいいなぁ、と思った次第です。
何が言いたいかというと、テレビリモコンもオプションで別売りでもいいんじゃないかなー、と思うんですよね。それこそ、iPhoneとかでいいんじゃないでしょうか。iPhoneアプリとして高機能リモコンを販売して、WifiなりBluetooth経由でコマンドを送る、ような。
quoted from:身近な手本ほど、人は見逃す - 産業動向 - Tech-On!
iPhoneのUIは、非常によくできているといわれている。直感的な操作性と同時に、時と場合に応じて機能を出し分ける仕組みがうまく取り入れられていることが大きな理由の一つだろう。だが、これが究極ではないと私は思っている。
私はUIの進化には、まだ先があるとにらんでいる。それが、ユーザーに助言を与え、教育するコーチングの概念を含んだUIだ。iPhoneは、その豊富な機能や面白さをユーザーに理解させていくプロセスが、設計概念に含まれていないのだ。
お手本は身近なところに
コーチングの概念を入れたUIのヒントは、とても身近なところにある。家庭用ゲーム機とそのソフトだ。ゲームソフトのUIは、ネット業界のUIに比べ、20年近く先を行っていると思っている。
例えば、ドラゴンクエストのようなロールプレイング・ゲーム(RPG)では、キャラクターがあるレベルにならないと使えないコマンドがあり、それはゲームを始めたばかりの時には見えない。ゲームを進めて行くうちに、キャラクターが成長し、あるレベルに達すると必要な機能が使えるようになる。
概ね同意なんですが、その理屈がそのまま家電に適用できるかなー、というのも疑問です。ゲームにおいてはユーザビリティというのが、割と市民権を得た評価項目かなー、と思うのです。何せ、マウスもキーボードも使えない、十字キーと数個のボタンで、色々遊ぼうと思うと、ユーザビリティのプアさはそのままストレスにつながりますしね。ゲームでストレスというのは、致命的でしょう。
でも、テレビにそれを求める人はマジョリティなんでしょうか?、という話です。これがどうもよく分からない。みんな不満には思ってそうな気もするけど、同時に、どうでもいいと思っている人が大多数のような気もするんですよね。
少し脱線しますが、ちょっとコストの話をしてみます。
まぁ、この手のUI機能をのっけるなんて話は良く出てくるし、iPhone的なUIはアイデアレベルでは、たくさんあって、試作品レベルなら、いくつかあることを知っていますが、製品化された、っていうのはほとんんど無いんじゃないでしょうか。私が知らないだけかもしれませんが。
で、それにはメーカーの理屈がありまして。
1円2円単位でコストダウンに心血を注いでいる家電製品に、WifiやらBluetoothのっけて、コストが上がったとして、「で、売り上げはどれだけ伸びるの?」という話になるんですよね。
製品にも因りますが、メーカー製品の原価は大体20%程度ですので、コストが1割アップしたら、売り上げ(単価x数量)が5割以上増えないとお話にならない、という訳です。
例えば、売価5万円の製品で、コストが1000円上がったら、単価を55,000円に設定して、で売上数量がそこそこ増える、ぐらいの「魅力」が無いと、実装する意味がないんですよね。
そこにいくとですね、UI開発にもう少し投資しましょうなんて話を開発サイドに持っていくと、
「で、そのUIを実装して、売り上げはどれだけ増えるの?以前や他社と比べて何がどれだけ良くなるの?」→「売り上げ予想はできませんが、ユーザーのニーズがあることは確かです」→「リターンが数値で見えないものに、投資はできない。他にやらなければならないことは山ほどある。」
と、いう会話になるんですよね。つまるところ、UIの魅力は数値化が難しいんです。色々手法はありますが、それが「売り上げ増」につながる、とはなかなか言えないし、まして、
「A社の同等製品に比べてUI魅力度が23%ほど勝っています」なんて言えないんですよね。いや、言えなくは無いのですが、説得力が無い、という方が正確かもしれません。
そんなわけで、開発サイドでは「UIが大切なことはなんとなく分かるんだけど、どうしても優先順位を下げざるを得ない」という状況が多いんだと思います。
個人的な感想を言えば、UIもデザインも、「企業文化」だと思うんですよね。だから、iPhoneはAppleにしか作れなかったと思うんですよ。技術的にではなくて企業文化的に。別に技術的には日本のメーカーだって作れるとは思うんですけど、まぁ、アレが許されるメーカーというのも、日本には余り無いかなー、とも思うのです。敢えて言えばソニーぐらいでしょうか。
とは言いつつも、別に悲観はしておりません。日本の技術者の皆さんは、私の知る限りでは優秀な方が多いので、「ユーザーが求めている」ことが明確に分かれば、そこに向かって最適化すると思うんですよね。ほんと、優秀な人が多い。求められれば、案外、答えちゃうんですよね、エンジニアの皆さん方は。
後は、それが売り上げや利益率に明確に貢献したり、株価やブランド価値が上がったり、となれば、自然とそこに最適化されるでしょう。まぁ、時すでに遅し、かもしれませんが。それは、仕方の無いことでしょうね。